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を本当に根気よく話してくれました。今だとよく解るのですが、当時は(もう、うるさいなア)と怒って聞き流していました。
一緒に謝りに行ってくれるという事は、とても恥ずかしかっただろうと思います。
言われたくない事、聞きたくない言葉にも耐えてくれた、と思います。
自分の生んだ子でもない子供の為に、他人の物分かりの良さそうな言葉をもって傷つけられる今の両親を、冷めた目で見ていた自分を、今は情けなく思います。
そういう偏見や好奇心を基礎とした一見優しそうな言葉でつけられた傷はとても痛いです。多分、他人の家で気を使いながら暮らしているんやろうな、と私に同情してくれたのでしょう。そして、まるで助太刀でもする様な気持ちで嫌みを両親に投げつけたのでしょう。実際は存分に反抗し、我慢してもらっている事など私自身もあらためて思ってもみないで、我儘を通してくれること、好きにさせてくれることが優しさだと、優しさのイミをはきちがえていたのです。
そして、いつの間にか、訳の解らない、まるで根拠のない憎しみのようなモノは、冷めていきました。高校生になって友達から「あんたの両親って本当の親と違うんや

 

 

 

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